人文学と法学、それとアニメーション。

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2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

フィクションと戦争──宮崎駿『君たちはどう生きるか』まとめ

※以下は宮崎駿『君たちはどう生きるか』について書いた3つの文章をまとめたものである。 ①「再生産と縮小──『君たちはどう生きるか』覚書」 hukuroulaw.hatenablog.com ②「フィクションと媒介性──宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』評註」 hukuroulaw.hate…

テレパシーの条件は、公水さながらの透明さ?──『サンドランド』

私自身、鳥山明ファンでもないし、『ドラゴンボール』もあまり履修していない。他方で、しょうもないことを自慢し「どうだ、かなりのワルだろ?」と言ってる1周回った感のあるちびあくまも鼻につく。旬のとうに過ぎた杉ちゃんかよ(!?)。夏なのに寒い(!!)…

人間はフィクションを作りフィクションに助けられて人生の荒波を進む──『バービー(Barbie)』評註

今、松濤美術館で「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展をやっている。 (行ってないので文章を繋げられない!笑) 『バービー』は、人形というものをとおして人間というものを顧みるお話であり、「男社会」も「バービー」も人間が過酷さに打ち勝つため…

「社会」あるいは「政治」の欠落──『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』評註

ミクロレベルについては、「一人でも誰かが味方でいてくれること」が、社会から切れない、人生をあきらめないためには必要であるという指摘は適切である。 また、観客へのメッセージとしても、むしろ非理谷ではなくしんちゃんの側、「最後の一人」を見捨てな…

ちょっとクドいし演技もイマイチ──『リバー、流れないでよ』覚書

貴船の旅館の迷路的ギミックとカメラワーク、こじんまりとした話のまとまり(と時間的閉鎖が空間的閉鎖感とリンクしており、ラストの空間的開放感につながる点)、「車のエンジンが壊れてしまい…」が真相だったというオチ、時間を止めて留まりたいという欲求(…

親への真の恩返しとは?──『マイ・エレメント』評註

本作には大きく二つの物語の筋がある。 一つはエンバーとウェイドの恋物語。 もう一つはエンバーと両親(ないし父)の親子の物語。 そして、そこには移民二世として、移民一世の父が始めた移民街の雑貨屋の跡継ぎとして育てられた一人娘と、当初からの住民であ…

空元気──『特別編 響け! ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~』

チューニングOK! …ではない。 しかし、空元気でも元気(な様子)を見せないといけないときもある。 そこから始まる本作は、さながら放火殺人事件から4年で、完全新作として本作を出す京都アニメーションである。 もちろん、嬉しい。 3年の南中カルテットや1年…