人文学と法学、それとアニメーション。

人文学と法学、それとアニメーション。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

君があると言ったから──『グッバイ、ドン・グリーズ!』と奇跡の自己言及

1.あらすじ 冒頭。 短髪のロウマとトトがドングリーズと掘ってある木板を焚き火で燃やしている。 「人って、こんなにあっけなく死ぬものなんだって当時はまだ知らなかった」と回想をするロウマのセリフからは、そこにいないドン・グリーズのメンバー、ドロ…

アニメにおける脚本の大切さと空中分解──『鹿の王』感想

まずもって映像は美しい、アニメーションにも文句はない。 また堤真一と竹内涼真の演技も素晴らしかった。 しかし、残念なことに、脚本があまりにも支離滅裂である。 アニメーションで見せるのではなく、最初の口頭での背景説明や、医師ホッサルのモノロー…

真の強さとは?──『クライ・マッチョ』評註

かつてのマッチョたる老人と、マッチョを目指す青年のロードムービーとでも言えばまとまるだろうか。 1.あらすじ かつては一流と呼ばれた白人でマッチョのカウボーイの老人マイク・マイロが、友人(ハワード・ポーク)の息子ラファエロ・ポークを、メキシコの…

仮面を被るということは。──『泣きたい私は猫をかぶる』覚書

笹木美代は「無限大謎人間」通称「ムゲ」と呼ばれ、豪放磊落に笑い、好意を寄せる日之出賢人には毎日ハイテンションでウザ絡みしている。 そんな美代の前に、ある夏祭りの夜、仮面屋と呼ばれる人語を介す猫が現れ、「猫になれる仮面」をもらう。これにより、…