人文学と法学、それとアニメーション。

人文学と法学、それとアニメーション。

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

自由・ケア・愛──『ガンダムSEED FREEDOM』評註

遺伝子操作せず誕生したナチュラルと、遺伝子操作して誕生したコーディネートという、二種類の人間が居る世界。かつてキラ・ヤマトとラクス・クラインは、かつて人類の争いに辟易したデュランダルが示したディスティニープラン(全ての人間をコーディネートに…

降りて傷ついたその先に──尾石達也『傷物語 こよみヴァンプ』評註

1 近代的個人主体から降りること 権力あるいは近代的個人主体から「降りること」は、そのあとの苦難苦渋を考えると、潔く「自殺」した方が楽かもしれない。 ちょうど『君たちはどう生きるか』の地下の「我を学ぶ者は死す」の引用元である、林房雄の短編に出…

縦と横、あるいは住居と階層──『コンクリート・ユートピア』評註

占有原理から持家制度=所有原理に象徴される貧富の格差を批判する作品で、特に災害時にこそその支配意識が顕在化する様を精緻に描き出す(文学は社会構造をなす亀裂を極大化しえ、それにより人々の意識を明瞭にし、可能な限りよい選択をなさしめる)。最愛の妻…