人文学と法学、それとアニメーション。

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2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

人間は弱いから──『五等分の花嫁』中野一花についての覚書

『五等分の花嫁』2期ラスト、一花が三玖に化けて風太郎に「一花は風太郎のこと好きだよ。私、応援してる。」と言うのも、京都のあの娘が私だと言うのも、全部一発退場レッドカードである。人として超えてはならない一線である。まさに「やったのね」(ニ乃)で…

アイデンティティ、差異、承認──『五等分の花嫁』シリーズ評註

四葉のコンプレックスの原因は、現代人のほぼ全て、つまり我々と共通する、自分の代わりはいくらでもいる=必要とされないことからくるアイデンティティの不安定さ(危機)である。 前近代では移動の自由や職業選択の自由はなく、だいたい生まれてから死ぬまで…

戦争放棄と憲法9条──『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』評註

1. 主題:戦争放棄と憲法9条 広島カープの野球帽を被った少年が島にいる時点でもうお分かりのように、本作の主題は平和主義、それにラストのザク廃棄を含めれば戦争放棄であり、憲法9条で規律される事象である。 左の思想性が強い!笑 (もっとも、「現状」か…

枝分節、分節、枝分節、分節──『映画「五等分の花嫁」』覚書

──選ばれたのは、四葉だった。 途中で一花、二乃、三玖、四葉、五月全員の「〜の場合」が入ったときには、『僕は勉強ができない』を代表に近時人気のマルチエンドかと思いヒヤッとした。 ちなみにマルチエンドがダメなのは選択から真剣さが失われるからであ…