人文学と法学、それとアニメーション。

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2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

令和元年日本のマニフェスト――『天気の子』評註

0 はじめに 忘却、象徴、祈りと解釈学 本作は現代の日本を舞台とするフィクションであるのみならず、現実の日本の裏面を画面に克明に記録するとともに、象徴天皇制を持つ日本に内在する制度的強制/忘却を如実に示している。 これは牽強付会として一蹴でき…

どこからでもはじめられる――『リトルウィッチアカデミア』評註

「信じる心があなたの魔法」(シャリオ) この言葉は、権力と権威を手に入れようとしたクロワに、シャイニーロッドが微笑まず、シャリオとアッコを持ち主に選んだその理由でもある。政治的決定をなす言葉では実益は手に入れられないし、実益を求めてはならない…

(憲)法学における通貨政策の位置づけ――片桐直人「憲法と通貨・中央銀行法制に関する一考察(一)(二)・完」法学論叢158巻1号94頁以下、3号111頁以下

片桐直人は我が国の(憲)法学における「通貨」の位置づけ及びその政策の憲法的統制について初めて手をつけ、そして現在もおそらく一人で走っている憲法学者である。[1] その我が国における「憲法における通貨」論のはしりをなすのが本論文であり、これは我…