人文学と法学、それとアニメーション。

人文学と法学、それとアニメーション。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

組織の論理あるいは国家機能の価値中立性──『ヒトラーのための虐殺会議』覚書

会議の雰囲気が完全に厄介な産業廃棄物の最終処分をどうするかという自治体や行政庁間での押し付けあいのそれである。割り当てられた処分数と取引。処分の優先順位で揉め、また処分についての官庁間の権限で揉めている。しかし、もちろん産廃ではなくユダヤ…

???──『RRR』覚書

『RRR』、強く推す声をいくつか見たので行ってみたが、個人的にはイマイチだった。 もちろんインド人を銃弾1つの価値より下と見て残虐の限りを尽くすイギリス、その象徴としての総督夫妻に対する勧善懲悪の筋は分かり易い。 しかし、なぜかビームに優しく刑…

かけがえのない子供──『対峙』評註

ヘイドンによるエヴァンスを含む銃乱射殺傷事件から6年。ヘイドンは事件を起こした校内で自殺。 ヘイドンとエヴァンスの両親が、4人のみで、小さな教会の一室で面会し、会話をする。 この作品を言葉で表現するのは不粋であろう。 あの緊張感と、そして被害者…

Not disabilities, But 〇〇 with disability. ──『ケイコ、目を澄ませて』評註

もう冒頭の、恵子と松本のコンビネーション、 タタタタ、タタタタ、タタタタ、タン タタタタ、タタタタ、タタタタ、タン が上手く、リズミカルに決まっている様子だけですでに凄い、 ああ、これはコミュニケーションだな、と直感的にわかる。 耳の聞こえない…

諸行無常、しかし、映画は、俳優は永久に残る──『バビロン』評註

いや、マジ好きすぎるんよな…。 女優の客へのゴールデンシャワー(放尿)から始まり、酒、タバコ、女、ドラッグ、セックス、同性愛、賭博、そして暴力。 映画関係者たちによる華やかなパーティがあり、全て手に入れ、そして、全てなくなった。 しかし映画だけ…

他者という問題──『劇場総集編 SSSS.GRIDMAN』覚書

やっぱり気に入らないからと言って簡単に他人を殺しちゃダメだよね、と再確認(当たり前)。 他者問題。 これは、近時の作品では『ブレッド・トレイン』の問題系でもある。コントロール不可能性の先に「偶然」=「他者」が出てくるのであって、それは「運命」に…

「ドリームアライアンス」(馬さん)を守るための法律構成──『ドリーム・ホース』評註

1.あらすじ 若年で夫と出来ちゃった結婚をし、日中はスーパーでパート、夜はバーでウェイター、老親の介護もするウェールズの田舎に住む主婦・ジェンは、日常に退屈していた。 ある日、夜勤のバーで、元馬主組合の会計士・ハワードが競走馬の話をしているの…