人文学と法学、それとアニメーション。

人文学と法学、それとアニメーション。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

忘却への抵抗とショッピングモールの換骨奪胎──『サイダーのように言葉が湧き上がる』評註

1 全体的な印象 『映画大好きポンポさん』のポンポさんの金言に従って、「映画なんて、結局、ヒロインを魅力的に撮れればそれでいい」と思うので、本作についても、チェリーがマスクを外した心からの笑顔が見れた、それだけでもう満足なのです。 が、多少…

どうか、もう迷わないように――藤本タツキ『ルックバック』評註

藤本タツキ『ルックバック』が2021年7月19日午前0時に公開された。 内容といい、公開のタイミングといい、これは2年前の2019年7月18日に発生した京都アニメーション放火殺人事件を念頭に置いていることはほぼ間違いないだろう。 本作の主題の一つは、作家論…

素材は一流、コックは二流──『竜とそばかすの姫』評註

【あらすじ】 母の事故死をきっかけに歌えなくなってしまった高知県の片田舎に住む根暗でそばかすのある女子高生・すず。友人の誘いで、人間の潜在的な能力を読み取りアバター「As」を自動生成し、体感覚ごと仮想現実空間に引き込む「U」に登録し、Bellとな…

西村経済再生担当大臣の金融機関への取引停止要請問題と憲法66条3項

西村康稔経済再生担当相が「「(酒提供停止に)応じない店について、情報を金融機関と共有し順守の働き掛けを行っていただく」と、2021年7月8日の記者会見で発言したことが騒動となり、翌9日には撤回、14日には野党一致の辞任要求が出るに至っている( https…

wi(l)d-screen baroqueとは、キャラクターを生身の人間にすること。すなわち、魂(animus)を吹き込むこと──『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』まとめ

※本論稿は本ブログの『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』に関する3つの断片的な論稿をベースにしつつ大幅に加筆修正したものである。 hukuroulaw.hatenablog.com hukuroulaw.hatenablog.com hukuroulaw.hatenablog.com 華恋、ひかり、真矢、クロディー…