人文学と法学、それとアニメーション。

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2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

かからない「虹」の謎――『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第13話「みんなの夢を叶える場所」覚書

1.問いと答え 本稿では疑問を1点に絞る。――雨が降り、雨が上がったのに、描かれない「虹」である。 私は、第13話で雨が降り出した段階で、「どうせすぐ晴れて、虹がかかってラストステージやろ。わら」という予想をしていたが、この予想は見事に外れた。 そ…

手を伸ばす勇気――『ジョゼと虎と魚たち』覚書

大学生でたくさんのクラリオンエンゼルフィッシュをその目で見ることを夢見る恒夫は、ある日、ものすごいスピードで坂道を下ってきた車椅子の少女・ジョゼを偶然助け、ジョゼの祖母・チヅから「バイト」を持ちかけられる。――それは、ジョゼのお願いを聞くこ…

計算された「完璧」の気持ち悪さ――『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第12話「花ひらく想い」覚書

第11話のラスト、侑が自分から離れて行ってしまうことの恐怖(もっとも、これは第12話を見た今となっては、それだけではなく、自分自身も変わりつつあり、その変化の結果、自分自身が侑を必要としなくなる可能性からくる恐怖も込みであったとわかる)から、…

フィクションと現実のパラレリズム――それを理解してしまったら、そのようにせざるを得ませんね――

私は、遺族や京都アニメーション関係者、あるいは他のファンが、青葉の死刑や、さら現行法による絞首刑よりも残虐な方法での青葉の殺害を望むこと自体は異常なことだとは思わないし、むしろ自然な反応だとさえ思う。私がここで述べていることが絶対的に正し…

「みんなちがってみんないい」世界における「特別」な関係――『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第11話「みんなの夢、私の夢」覚書

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第11話。 歩夢の侑に対する感情が、ついに爆発した回。 パスカードケースや標識やスマホについての演出的意味についてはもうすでに多くの考察が出ており、ここで論じる必要はない。 ここで指摘しておきたい…

フィクションの反転――『100万の命の上に俺は立っている』第11話覚書

第11話はなぜか『ふたりはマジハナイト』というアニメのアバンとOPから話が始まる。 『100万の命の上に俺は立っている』が打ち切られたのかと思った。笑 タネ明かしは時舘由香が幼少期から憧れていたアニメで、時舘がゲーム世界の雪中で見た夢である。 現実…

本物の関係の成立条件――『安達としまむら』第10話「桜と春と 春と月と」覚書

周囲の人間に興味がなく、2年生に進級しできた友達モドキやさらには樽見の会話すら頭に入ってこず、そのことについて自身を「薄情」と形容し、樽見と別れたあとに、自分は何者かと悩むしまむら。 そのしまむらをそのまま肯定するのが宇宙=社会共同体のハイパ…

自由に切り貼りできるコンテクストの説得力の無さーー『Fate Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 前編』覚書

ソシャゲとして進める分には面白いのだろうけど、拡散してしまう群像劇と各サーヴァントならびに藤丸の動機の薄さ更には旅人感の全てが絡み合い致命的に物語を盛り下げている。 またこれはFateシリーズ全般に言えるが、コンテクストから切りはなして勝手気ま…