18歳でまわりの「みんな」の反対を押し切って、卯月を産んだ卯月の母。これはもし「みんな」の意見に従っていたら、卯月は存在していなかったことを意味する。「だから、あなたの幸せは、「みんな」が決めるべきことじゃないの。」これは説得力がある。
青ブタ本編を見てないのでなんともいえないが、映画から見える断片から繋ぎ合わせると、おそらく、咲太の妹・花楓は「思春期症候群」に罹患し、別人格を生み出し、病気自体は治ったものの、昔の人格は消滅してしまった。そして、かつての人格を大切に思っていた咲太たちに対して、今の花楓は負い目を感じ、かつての花楓がやろうとしていたことをやり、かつての花楓のように振る舞おうと努力している…あたりか。
従って、本作が描いている、花楓の成長は、現実にはありえない事態ではある。しかし、現実にありうるものとして比喩的に理解するなら、卯月の変わる前と変わった後(全日制高校→通信制高校)の話になるだろう(なればこそ花楓は卯月と話したことで、自分の意思で決める決意ができる)。
もう一人のかつての私ではなく、今の私の人生を。
峰ヶ原高校に追加合格しても通信制の志望を変えなかったのは、その決意の芽生えである。