人文学と法学、それとアニメーション。

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ロック・アナーキー・子供──『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』〔吹替版〕覚書

スパイダーマンシリーズ全体の特徴でもあろうが、ビル間を自由自在に抜けていく疾走感と何気ない会話のテンポ感、カメラのグワングワンとメニースパイダーマンたちのわちゃわちゃ感の良さ、良さ、良さ!

 

2時間がまぁあっという間である(しかし、さはさりながら2時間なので長い上、「続」かよ!?)

 

グエンが組みたかったバンドはすなわち、不確かな未来に向けたハーモニーであり、それは前作でマイルズのもとに集まったかけがえのないメンバーたちなのである!!

 

マイルズとグエルがビルに逆さに座っているのは、2人だけが世界の普通の人々とは違う、スパイダーマンであることの示唆である。

(このポスターはまた別の反逆、つまり全てのスパイダーマンとマイルズの対立の話だが)

そしてマルチバースとは、フィクションの世界、たとえばマンガの二次元や、レゴブロックの世界でもある。

 

背後にあるのは、家族愛の話。孤独になってはダメ。

 

運命なんてブッ潰せ!!!!

 

カノンの呪縛を打ち破れ!!!!!

 

(運命をブッ潰すのは、未来があるベイビーであり、若いマイルズとグエンであり、ロックミュージシャンであって、つまりアナーキーなのである!!!!)

 

確かに人生にはいいこともわるいことも、出会いも別れもあるが、たからといって今救えるその人を助けず諦観していて、大人のわかっ

 

そして、その役回りとしては、(勉強=MITも、スパイダーマンとしても)特異点」としてのマイルズこそが相応しい。

 

※なお、近時、筆者は「運命論」哲学を考えているのだが、入不二基義の「現実」哲学と結びついた運命論からすると、マルチバースは「現実」の複数性を言う以上、運命の話にはならないように思われる。