人文学と法学、それとアニメーション。

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アニメにおける脚本の大切さと空中分解──『鹿の王』感想

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まずもって映像は美しい、アニメーションにも文句はない。

 
また堤真一竹内涼真の演技も素晴らしかった。
 
しかし、残念なことに、脚本があまりにも支離滅裂である。
 
アニメーションで見せるのではなく、最初の口頭での背景説明や、医師ホッサルのモノローグの多様。
 
鹿の王のモチーフ、黒狼熱のモチーフ、ピュイカの乳、ヴァンとユナのロードムービーと擬似家族、従属部族アカファの王と大臣の謀略、タカアシでの暗殺部隊の少女、全ては繋がっていることと『海獣の子供』…面白そうな要素は散りばめられているのであるが、そのことごとくがあたかも計算されているかのように分断されている。
 
ラスト、ユナがピュイカを見て喜んだのは、ユナの鹿笛に反応して、ヴァンが乗っていたピュイカが出てきたからであって、あのピュイカがヴァンだったわけではないだろう。