人文学と法学、それとアニメーション。

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ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず──『駒田蒸留所へようこそ』覚書

回転する独楽が静止したように見える状態≒ちはやふる、だ!(最近アニメ『ちはやふる3期まで一気に見た。笑)

 

主題系はタイトルにも引いた「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明方丈記』)であろう。「独楽は家族のお酒」という、駒田琉生と圭のセリフ。祖父、父と受け継いできた駒田蒸留所の従業員たち(従業員も含めて家族であろう)とウィスキー『独楽』。ウィスキーの熟成には短くても3年、長いものは50年。その長期スパンは人の人生や代替わりと被る。この主題は記者の高橋光太郎が、映画の最初取材に来たときから琉生たちとともに成長し、そして映画の最後にはかつての高橋と同じセリフを吐く不勉強の新人君を引率で連れてきているのである。笑

 

そして、ウィスキーの熟成には時間がかかるからすぐに金にはならない。長期投資がかすみ短期的利益にのみ目がいき政治家と企業家が「公共」に対し私益目的での収奪的行為を仕掛ける2023年の我が国の現況に対する批判にもなっている。

 

河端朋子さんがよかったですね。琉生がやってこれたのは、『独楽』への信念だけではなく、駒田蒸留所の従業員の皆がいたからだろう。