本作のテーマの一つは愛であり、そのコインの裏側の孤独である。
さらに、ジェイコブとクイニーはマグルと魔女である断絶を超えて、ラストに愛で結ばれ結婚する。
この血の穢れをこそ嫌っていたのがグリンデルバンド一派の純血主義であった。
そして、グリンデルバンドと組んだ国際魔法連盟会長やドイツ魔法省は、皆黒服で身を包み、幹部以外は同じように見えるまさに「徒党」であり(たとえば『ハウルと動く城』の魔女の使い魔)、であるからこそニュートの兄てせうすに保釈請求の機会なしに闇から闇に葬ろうとするし、女性の会長候補に毒を盛ろうとする。さらに、グリンデルバンドがその力を攻撃に使い、ダンブルドアが防御に使ったことで呪縛が解けたことも示唆的である。
そして「全貌を知る徒党」ではなく「全貌を知らない個々人」の動きが徒党をやぶる鍵になるのは、サラミスの海戦さながらである。