人文学と法学、それとアニメーション。

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2023-09-10から1日間の記事一覧

法廷という滑稽──『サントメール』評註

本作は主として法廷劇として進行する。 フランスのサントメールで起きた、15ヵ月の自分の娘を海岸に放置して溺死させた、セネガルからの留学生による殺人被疑事件。その裁判を、女性作家・ラマが傍聴していた。放置=殺害行為自体は認めるものの、「呪い」の…

枠の外──『アステロイド・シティ』評註

ウェス・アンダーソン監督作品は、『フレンチ・ディスパッチ』もはじめ、一作品も見ていない。本作が、私が初めて触れたウェス・アンダーソン監督作品である。 *** 冒頭で、『アステロイド・シティ』は、劇中現実での演劇であることが、舞台の外の語り手…